経済のグローバル化とアジャイル開発の必然性 〜 注30

公開: 2021年10月19日

更新: 2021年10月19日

注30. 特定の応用分野に特化したクラス・ライブラリ

これは、1991年に米国IBMで実施された、主力オペレーティングシステムに対するオブジェクト指向言語での書き換え実験によって判明した事実である。この実験では、その30年前に機械語で書かれた古いプログラムを、新しいプログラミング言語で、その機能とインタフェースを変えずに書きかえるというものであった。対象となったオペレーティングシステムの部分は、その最も古く、基礎的な機能を実現した、比較的小規模な部分であったが、新しい言語での記述量は、約2万行になった。そのほとんどは、クラスライブラリの記述である。このクラスライブラリは、何回か書き直されており、クラスライブラリが書き直されるたびに、それを使う機能の実現を行うプログラムの記述も大きく変更された。この実験の結果から、米国IBMは、自社内の技術者のみで、そのオペレーティングシステムの完全な書き換えを行うことは非現実的と判断した。このことは後に、クリントン政権による新しいソフトウェア開発環境構築を目標とした政策を立案する基礎となった。

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